平屋のスペシャリストが考える、平屋のメリット・デメリット

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多くの事例を見てきた平屋のスペシャリストである私の経験から、平屋を建てる前に知っておきたいメリットとデメリットを紹介していきます。どんな家にも必ずメリット・デメリットはあります。特に平屋はデメリットの対策に一般的な2階建てとは違った考え方が必要です。

  • 建ててみたらイメージと違った
  • 家の中でも無駄な行き来が多い気がする
  • 住み続けるうちに不便になってきた

などの後悔をしないために、平屋での暮らしがあなたのライフスタイルとかけ離れていないか、しっかりと確認しておくことが重要です。まずは、メリット・デメリットを知って、平屋があなたのライフスタイルにあっているのか考えていきましょう。

平屋の5つのメリット

01.家族との距離が近い

平屋は全ての部屋がワンフロア。当たり前ですが家族との距離が近くなります。LDKから各部屋と分岐していく間取りにすると、家族との距離が近くコミュニケーションを取りやすい暮らしになります。

例えばこちらの間取りでは、玄関を入るとすぐにLDK。廊下がなく部屋と部屋とが繋がっています。この間取り、 「あり得ない!」と言われたこともありましたが、今では時代の変化、機能性や住み心地の良さから、多く方に受け入れられています。

廊下がなく開放的、お互いを程よく感じられる室内の距離。家族がどこにいるか気配で分かるため、心のゆとりを持って子供を見守れるという点も大きなメリットです。

1階間取り図

02.コンパクトな動線と管理しやすい収納

暮らしの中には「家事動線」や「帰宅動線」「来客動線」などたくさんの動線があります。どれも快適な暮らしには大切なもので、平屋はこれらが無駄なくコンパクトに作れます。

例えば家事動線。

家事は同時進行ですることが多く、特に朝は洗濯をしながら朝食を作り、子供にご飯を食べさせるということもあるかもしれません。そんなご家庭であれば、キッチンの並びに洗面室、物干しスペースを設置することで、移動の負担を減らすことができます。

帰宅動線は家に帰宅してから荷物を置き、手を洗い、着替える動きに合わせて。来客動線はお客様に生活感のあるスペースを見せずにスムーズにリビングに入ってもらえるように。とそれぞれのシーンにあわせて柔軟に動線を作る必要があります。

平屋は収納が課題になりやすいイメージがありますが、動線にそって収納を作ることで、管理しやすくアプローチしやすいメリットもあります。

間取り例 : 【design casa】 趣味を最大限に楽しむ家。適材適所の収納で効率よく。

間取り例 : 【design casa】 プライベート空間を大切に、十分な収納スペースを確保。

「casaの平屋」では、リビングと窓の間に掃除機などを仕舞う収納を設けたり、パントリーを勝手口に直結させ、買い物後そのまま荷解きできるようにしたり、ランドリールームの隣に広めのクローゼットを設置して家族の洗濯物をそのまま収納できるなど、様々な工夫をしています。使う場所のすぐ側にものを収納できると自然と必要なものだけ、大切にしたいものだけに厳選されていきます。

間取り例 : casa piatto 長方形プラン

長方形・3LDKのプランは、独立側のアイランドキッチンとリビング&ダイニングの全開口窓が特長です。キッチン裏のパントリーやふたつの窓の中央に設置した収納スペースなど、スタイリッシュに見せながら暮らしやすさを追求。LDKのまわりに個室を配し、つながりながらもプライバシーを守る間取りです。

1階間取り図

03.地震や台風に強い

平屋は2階建てに比べ地震、台風に強くなりやすいと考えられます。階層が一つで構造がシンプル、上層階の重みがない分、揺れが少なくなります。構造的に強くしやすいのです。建物の低さは台風の強い風による影響も少ないというメリットがあります。自然災害への対策から平屋を選ぶのも一つの考え方です。

04.メンテナンスのコストが抑えられる

建てたら終わり、で済まないのが一戸建て。新築後10年前後でメンテナンスを考えなければいけない時期に入ります。いつか必ずかかるコストなので建てるときからしっかりと想定しておきましょう。メンテナンスを考えていく上で、費用負担の影響が大きいのが外壁です。2階建てと比べて外壁の面積が少なくなるため費用が抑えられます。高さが低くメンテナンスがしやすいこともコスト面で有利といえます。

05.長く快適に住み続けられる

将来、家族が年齢を重ねても、2階建てに住み続けることができるか、考えたことがありますか。30年、40年と住み続けると階段や段差による負担やリスクがだんだんと大きくなっていきます。

平屋の場合は、階段がなく、ワンフロアで寝室などの居室もすべて1階。住まいの特徴そのものがバリアフリーにつながりやすくなっています。

例えば『casa piatto』は全室バリアフリーで、どこにも段差がありません。足元に危険がないことはもちろん、ロボット掃除機を使った掃除のしやすさにもつながります。

平屋なら駐車場を寝室のすぐ側に作ることもできるので、介護の面でも安心。小さなお子様からお年寄りまで、生涯を通じて長く快適に暮らせる住まいも可能です。

平屋のデメリットと解決法

プライバシーについて

すべての部屋が1階にあるので、外部との近さが気になるという方がいます。プランニングをする時には窓の位置や高さ、庭のとり方、外構や植栽の計画をしっかりとたてることで対策ができます。部屋の中が外からどのように見えるか、道路や隣地と視線が合わないように工夫することも大事です。

防犯の不安

警察庁の「令和元年の刑法犯に関する統計資料」によると、一戸建ての空き巣被害のうち、48.6%が玄関や窓の無締まりが原因となっています。また、侵入窃盗のうち、約1/4が家主の在宅中に発生しています。

防犯対策については二階建て以上の家屋同様、玄関や窓をしっかりと施錠をしたうえで、防犯照明を付けたり防犯砂利を敷いたりするなど、基本的な防犯対策を行うことが大切です。

通風・採光が取りづらい

2階建てに比べると、平屋は水平方向に広がります。窓や外壁と家の中心に距離ができるため、通風・採光をしっかりと計画する必要があります。

どうやって家の中心に光と風を届けるか、窓の位置や部屋の配置で解決しましょう。

間取り例 : 【design casa】 部屋の庭側に大きな掃き出し窓を設けたプラン。

風通しと採光をしっかりと考えたプランにすることがとても重要です。

水害に弱い

平屋は2階に避難できない分、水害に弱い住まいと言えます。海や河川の近く、ハザードマップで浸水が予想されるエリアは、盛り土をして敷地そのものを上げたり、家の基礎を高くするなど水害への対策が必要です。

坪単価が高くなりやすい

2階建てに比べ屋根や基礎の面積が増えるので、どうしても坪単価は高くなります。しかし、坪単価は高くても床面積が少なくなれば総額では安くなることもあります。

例えば二階建て40坪の場合、階段や通路といった居住空間以外のスペースが3~4坪程度あります。平屋であれば同じ居住空間を36~37坪で確保することができます。

坪単価は家を建てるための総額が分かる数字ではないのです。平屋には階段や廊下、2階のホールなどが必要なく、構造もシンプルなので単純に比較はできません。坪単価ではなく、総額で比較するようにしましょう。

固定資産税が高くなりやすい

平屋は固定資産税が高いというイメージがあるようです。

実際のところは平屋だから、2階建てだからと一概に言えず、ケースバイケース。固定資産税は家や土地の価値を一定の基準で評価した値です。都心の狭い土地に建てた二階建てと、郊外の広い土地に平屋を建てた場合、どちらの固定資産税が高いのか。土地の広さだけでなく、接道状況などでも変わるため単純にどちらが高いとは言えません。


平屋オーナーの声

平屋のメリット、デメリットを見てきましたが、より具体的にイメージできるように、実際に「casaの平屋」を選んだ方の声をご紹介します。

平屋ならではの特別な居心地のよさがある家

casa piatto

気に入っている場所はキッチンです。朝のお弁当づくりからはじまって、子どものおやつ、お昼ごはん、晩ごはんと、気がつくとほぼ一日中キッチンにいるような気がしますが、私にとって1番なごむ場所。キッチンにいると家全体が見わたせるので、子どもの様子をずっと見ていられます。

また、夏場はけっこう涼しくて、私と子どもはエアコンなしでも平気でした。窓を開けていると風が気持ちよく通り抜けるんですよ。見た目も住まいとしての機能性も発揮してくれる家だと感じています。

家族との距離感が近くなる平屋

casa basso

実家が平屋で居心地が良かったこともあって、家族や庭との距離が近い平屋でシンプルに暮らしたいなと思って。2階建ては階段があって老後が心配なのと、掃除も大変ということを聞いていましたし。いくつかモデルハウスを見にいき、外観がかっこいい「casa basso」に決めました。

この家は、天井が4m以上あるのが気持ち良くって気に入っています。雨が嫌いだったけど、屋根から落ちてくる様子がきれいで好きになりましたね。

夫婦の思いを組み合わせた家

casa cago

天井が高くて開放感があるし、リビングから家の中と外の両方を見渡すことができる。自然と家とが、うまく調和していく感じですね。その一体感がお気に入りです。

最高の家だね、っていつも夫婦で話しています。これからこの家がどういう風に変化していくの、とても楽しみなんです。


平屋のスペシャリストだからこそ分かる、平屋のメリットとデメリットを紹介してきました。

平屋は間取りの自由度が高いので、デメリットがあったとしても、ちょっとした工夫やアイデアで解決できるケースがたくさんあります。平屋が気になるけど不安な点があって迷われている方は、ぜひ一度ご相談ください。経験豊富な事例をもとに、アドバイスさせていただきます。

松本 彩

カーサプロジェクト株式会社/テクニカルチーム

同社の技術担当として住宅商品企画の要を担う。住宅の機能や性能を最大化させるだけでなく、2児の母としての細やかな目線や感覚を住宅に緻密に反映させている。