column casa コラム
「家事動線」のために、いま建築家が考えていることとは?
住宅トレンド
建築家3名に家づくりの重要ポイントのひとつ、「家事動線」についてリサーチ
家づくりがスタートし、間取りの検討がはじまると、必ずと言っていいほど出てくるキーワードが「家事動線」。日々の家事をスムーズにし、暮らしやすさをアップするための「家事動線」を考える時、大切なことはなんだろう。
建築家と理想の家づくりが実現できる「design casa(デザインカーサ)」で活躍する建築家、内山里江さん、敷浪一哉さん、吉野伸一さんの3名にそれぞれお聞きしました。
「家事動線」のクオリティは年々上昇している(内山里江さん)
住まう方のライフスタイルによって正解は変わってくる
今は、買い物から帰ってきたらまず靴を脱いでどこにしまい、それから荷物をどうやって運び、どこに収納するのか、収納場所はどんな使い勝手にするのか、といったところまで考えます。またその正解はひとつではなく、それぞれのご家族の習慣、ライフスタイル、持ち物の量などによって大きく変わってくるのです。ですから家を建てる際には、自分たち家族にはどのような「家事動線」があると助かるのか、家のプロにぜひ相談してください。
内山 里江
株式会社コモドデザイン代表
山口県出身。専門学校卒業後、住宅、店舗の建築設計・デザインを中心に従事。2005年にコモドデザイン一級建築士事務所を設立。建築設計歴27年、のべ2000棟以上を設計・デザインしている。
内山 里江
株式会社コモドデザイン代表
山口県出身。専門学校卒業後、住宅、店舗の建築設計・デザインを中心に従事。2005年にコモドデザイン一級建築士事務所を設立。建築設計歴27年、のべ2000棟以上を設計・デザインしている。
特に進化を続けているのは、洗濯の「家事動線」(敷浪一哉さん)
「家事動線」のなかで、いま最も熱いのは「洗濯」
「家事動線」のなかで、いま最も熱いのは「洗濯」ではないでしょうか?特に多いリクエストは、脱衣→洗濯→乾燥→収納の「家事動線」をしっかり整えたいというものです。まず、脱衣所に洗濯機を置き、脱いだ服をそのまま洗います。洗ったら脱衣所内に部屋干し。乾いた後はその場で服をたたみ、隣接するファミリークローゼットに収納という動線をしばしば提案しています。
住まう方の「家事動線」の移動距離を整理
一方で、屋外にも干したい、家族それぞれの部屋に服を収納したい、ファミリークローゼットの位置は脱衣所隣接でなくてよいなど、ご家族それぞれのご希望や、間取りの制限もあります。そんな時は、私の場合、脱衣→洗濯→乾燥→収納のうち、どの「→(矢印)」の移動距離が長くなっても大丈夫なのか?をヒアリングして整理します。そうすることで、そのご家族にぴったりの「家事動線」が必然的に決まっていくのです。
ちなみに今、洗濯物の乾燥が1時間くらいで完了するガス乾燥機の“乾太くん”が人気で、我が家にも導入しました。外干しをする文化が薄れてきましたし、夕方や夜に洗濯をする方も増えているからだと考えられます。余談にはなりますが、最新の家事をラクにするための三種の神器は、「乾太くん」・「食洗機」・「ルンバ」ではないでしょうか。
敷浪 一哉
シキナミカズヤ建築研究所
北海道出身。1998年、東海大学工学部建築学科卒業後、YOURSPROJECTに勤務。2004年から㈲シキナミカズヤ建築研究所を設立。「主夫建築家」を目指し、家事と子育てに取り組みつつ住宅設計の糧にしている。
敷浪 一哉
シキナミカズヤ建築研究所
北海道出身。1998年、東海大学工学部建築学科卒業後、YOURSPROJECTに勤務。2004年から㈲シキナミカズヤ建築研究所を設立。「主夫建築家」を目指し、家事と子育てに取り組みつつ住宅設計の糧にしている。
「家事動線」にプラスして、「生活動線」にも着目(吉野伸一さん)
「生活動線」もしっかりと考えた家づくり
みなさん忙しく過ごされていますから、「家事動線」は絶対にはずせないポイントですよね。それに加えて物価高の影響で、土地はもちろん建材などのコストも上がっているため、コンパクトな家を建てたいという方が増えています。ですから、「家事動線」を整えながら「生活動線」もしっかりと確保していく必要があります。
例えば、ご主人が夜勤のあるお仕事の場合は、日中もひとりで静かに眠れるようにお子さんたちの生活動線とは離れた場所に寝室をつくったり。また朝早く出勤されるお仕事の場合は寝室から直接玄関に行けるようにしたり。一人ひとりの暮らし方に合わせた動線をつくっていくことが、今の家づくりには必要です。
家づくりのプロとしてプランをご提案
最近は施主のみなさんも「家事動線」「生活動線」をしっかり勉強されていて、2wayの玄関やキッチン、ウォークインクローゼットなどを希望される方もいらっしゃいます。それはそれでメリットがあるのですが、家のなかに扉や壁が増えてしまうのも確か。私たち建築家も、何を目的として2wayの間取りにしたいのか、しっかりとヒアリングして設計プランを進めることが大切ですね。
吉野 伸一
スタジオキチ合同会社
大分県日田市出身。日本大学工学部卒業。高校時代にフランク・ロイド・ライトに出会い、建築家を志す。日本大学工学部卒業後、複数の工務店に勤務し、2018年「スタジオキチ合同会社」を設立。現在に至る。
吉野 伸一
スタジオキチ合同会社
大分県日田市出身。日本大学工学部卒業。高校時代にフランク・ロイド・ライトに出会い、建築家を志す。日本大学工学部卒業後、複数の工務店に勤務し、2018年「スタジオキチ合同会社」を設立。現在に至る。
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