column casa コラム

建築家の視点で考える、住宅設備の最適解とは?

#住宅トレンド #建築家トーク #住宅設備

住宅トレンド

家づくりの前に知っておきたい、目からウロコの発想

選び方を知っておくと家づくりに後悔がなくなるアレコレを「design casa(デザインカーサ)」で活躍する建築家、内山里江さんにお聞きした。「なるほど、そんな考えもあるんだな」と気づかされるポイントばかり。多様な視点を持っておくと選択肢がより増えて、さらに賢く家づくりができそうだ。

ガレージをつくるならビルトインガレージがおすすめ

30年後、その価格はカーポートと変わらなくなる!?

ビルトインガレージって贅沢なイメージでしょうか。実際に車2台を駐車できるビルトインガレージをつくると、プラス500〜600万円の建築費が必要となるのが相場です。1台につき300万円は高いと思われるかもしれません。しかし屋根付きカーポートでもその半分の150万円はかかります。またカーポートは10年もしたら劣化が進むので、使えるけれど古びてしまうことも。それが家の前の目立つ場所にあるのも考えものです。

カーポートを15年で交換する場合、30年で合計300万円が必要となり、価格の面でもビルトインガレージに追いついてしまいます。

車の美しさはもちろん、日常の快適性もキープできる

一方、ビルトインガレージの耐用年数は建物と同じなので、40年、50年、それ以上と使えます。さらに車が紫外線や風雨にさらされないので、美しさをキープでき、洗車の回数が減るというメリットも。またガレージと家の中を直接行き来できる動線をつくれば、雨の日も濡れずに荷物を運び込めます。

さらに車内の温度が外気温に影響されにくいので、夏の暑い日、冬の寒い日でも快適に車に乗り込めるなど付加価値はいろいろ。押し並べて考えると、ビルトインガレージの方がおすすめできると思います。

欲をいえばシャッターをつけて防犯性を高めたいですね。風がゴミや落ち葉を運んできて、掃除の手間が増えることもありません。

パントリーって本当に必要ですか?

もしかすると、今のキッチンが狭いからパントリーがほしいのかも?

最近、家事動線を工夫したいとの声と同時によく出てくるのが、「パントリーがほしい」の声です。そんな時、私は「もしかすると、今、お住まいの賃貸アパートのキッチンが狭いからではないでしょうか?」とお聞きしています。

というのも新築一戸建てに設置するキッチンは、賃貸アパートのそれよりかなり大きく、収納も充実しています。引っ越して手持ちのキッチン用品を収納してみると、意外なほどスペースが余ったという方が少なからずいるほどです。

リビングにゴチャつきがちなモノの収納スペースを作るのも賢い選択

ですからパントリーは家族が多い方や保存食づくりが趣味の方、実家からお米が送られてくるといった方以外は無理して作らなくてよいと思っています。

それよりも、家のなかで置き場に困りがちなもの(学校からのプリント類、習い事の道具、文房具や薬類など)を収納できるスペースをリビング・ダイニングのどこかに確保したほうが、暮らしがすっきりしそうです。

LEDの電球を使うなら、照明への考え方を変えてもいいのかも

消費電力によっては、つけっぱなしのメリットの方が上回るかもしれない

今、LEDの電球をつけることが当たり前になっていますよね。そのLEDの消費電力って、昔の豆電球くらいだとご存知ですか? 

それならば、夜間にどこかの照明をつけっぱなしにしていた方が、防犯上のメリットがあると私は考えています。またご年配のご家族やお子さんが夜中トイレに起きた時も、安心材料のひとつになります。

照明をひと工夫すると、暮らしがもっと豊かになる

そのようなこともあり、私は節電のためにたくさんのスイッチをON・OFFするような照明計画は立てていません。スイッチが多いと汚れの原因ができ、掃除の手間も増えますから。

スイッチよりも調光の機能をつけて、食事をする時は明るく、リラックスする時はちょっと暗めにと光の量をアレンジしてみてはいかがでしょう。LEDなら消費電力が少ないですから、間接照明を積極的に取り入れてもよいかもしれません。美しくデザインされた照明で暮らしがぐっと豊かになります。

最新機能は便利だけれど、リスクも知っておいて

便利なスマートキー、急に使えなくなることもある!?

新築で一戸建てを建てるとき、スマートキーを導入する方が増えています。施錠・解錠の手間が省け、ハンズフリーで鍵を開けられる製品もあり、便利さは確かに実感できます。

ただ、スマートキーを持たずに外出すると家に入れない、停電時や電池切れの際にはスマートキー自体が使えなくなるといったデメリットも。それらをしっかり考慮した上、導入したいところです。

水回りのタッチレス機能も、導入する時はじっくり検討して

タッチレス水栓、トイレのオート機能なども同様です。便利ではありますが、災害で停電した時に使えないといったリスクもついてきます。また精密な機能であるほど、故障の際の修理に時間がかかるものです。もしもの時のことを想定しながら、導入するかどうかを決めると後悔することがないですよ。

内山 里江
株式会社コモドデザイン代表

山口県出身。専門学校卒業後、住宅、店舗の建築設計・デザインを中心に従事。2005年にコモドデザイン一級建築士事務所を設立。建築設計歴27年、のべ2000棟以上を設計・デザインしている。

内山 里江
株式会社コモドデザイン代表

山口県出身。専門学校卒業後、住宅、店舗の建築設計・デザインを中心に従事。2005年にコモドデザイン一級建築士事務所を設立。建築設計歴27年、のべ2000棟以上を設計・デザインしている。

\ 建築家とつくる、注文住宅の新提案 /