参考にしたい平屋の間取り13選と、考えるべき大切なポイント

投稿日

住む人のライフスタイルにあわせた住み心地のいい家にするためには、「間取り・プラン」の考え方が重要です。ここでは、平屋のメリットとデメリットを徹底的に考え抜いた「間取り・プラン」を中心にご紹介していきます。

よくある失敗例や、検討すべきポイントも書いていきますので、ぜひ家づくりの参考にご覧ください。

おすすめの平屋の間取り・設備13選

01.暮らしに合った家族動線

平屋の動線には上下の移動が無いのが特徴です。家族構成やライフスタイルに合わせた、コンパクトな動線が作りやすいとも言えます。大人が夜まで活動するリビングと子供部屋を少し離れた位置に設置したり、逆にお互いに気配を感じられるようにリビングに接して子供部屋を設置したり、ライフスタイルによってさまざまです。家族への思いやりとプライバシーを考えたレイアウトで、小さな心配事をなくすことができます。

間取り例 : casa cago (プラン/double wing)

中庭を挟んで、左右に居室を振り分けたサイドウィングのプランは、開放的でありながら、外からの視線は遮りプライバシーを確保してくれます。豊かな自然に囲まれながら、四季折々の風景と一体になって過ごす。そんな暮らしにぴったりな住まいです。

1階間取り図

02.カスタマイズできるシューズクローク

シューズクロークは玄関横の土間続きの大きな収納で、靴はもちろん外で使う大きなものの保管に適しています。最近人気のキャンプやサイクリングなど、アウトドアでのアクティビティ。そこで使う道具の置き場所や準備、メンテナンスを考えたシューズクロークを設置するご家庭が増えてきています。

間取り例 : 【design casa】 趣味を最大限に楽しむ家。適材適所の収納で効率よく。

趣味の道具以外にもベビーカーや子供用のビニールプール、ペット用のリードやレインコート置くなど用途は各家庭によってさまざま。LDKなどの居住空間に土や砂などを持ち込まずに済みますし、出かける時に必要なものが玄関に揃っていると、あちこちにものを取りに行かず気持ち良く外出できます。また、クローゼットを隣接させると、帰宅してすぐ着替えてからリビングに移動でき、花粉症の対策にもなります。

03.玄関近くの手洗いスペース

ここ1、2年でかなり増えてきたのが玄関の近くに手洗いスペースを設置する間取りです。最近建てられたモデルハウスを見に行くと、高確率で設置されていることを見ても重視されていることがわかります。コロナ禍で新しい生活様式が浸透し、外から帰ってすぐに手を洗いたいと考える方が増えているからでしょう。来客があった際に、玄関の近くで手洗いを済ませてもらうことができ、生活感のある洗面台を見せることなく、リビングに案内できるのも便利です。鞄や上着、荷物を置けるクロークが併設されていることも。レイアウトの関係で独立した手洗いスペースが作れない場合は、洗面スペースそのものを玄関に近づける配置も検討してみてください。

04.リモートワークスペース

書斎のようなちょっと贅沢な小スペースが無くなりかけていましたが、最近になってリモートワークが増えたことで復活してきています。独立した部屋として設置することもありますが、リビングや寝室に設けることもあります。子供たちのスタディスペースと兼用できるようにしているパターンも。仕事の効率や家族のストレスを考えて、自分たちのライフスタイルに合わせたレイアウトが重要になってきています。

05.ファミリークローゼット・ランドリースペース

共働きの家庭が増え、家事の時間を短縮できる間取りだと、リクエストが増えています。ファミリークローゼットとランドリースペースを隣接させて、洗濯、室内干し、片付けを一か所ですませるのも、家事動線が良くてオススメです。

間取り例 : 【design casa】 プライベート空間を大切に、十分な収納スペースを確保。

06.パントリー

食料品や日用品を保管できるパントリー。まとめ買いの多い家庭や日用品のストック、災害や非常時の準備をしっかりしておきたい方におすすめです。インスタント食品やお茶のティーパックなど生活感のある細々したものは、できるだけリビングから見えないように隠したいという方も多いのではないでしょうか。

07.キッチンと横並びのダイニング

キッチンとダイニングテーブルを横並びにするレイアウト。一般的なカウンターキッチンと比べてキッチンからダイニングへの動線がスムーズになるため人気です。一見、キッチンからリビングへの動線が長くなってしまうデメリットがありそうですが、ダイニングテーブルとキッチンの間にスペースをあけるとそれが解消されるので、ぜひ検討してみてください。

08.可変性のある子供部屋

ベッド、机、TVが置ける6畳ぐらいの独立した部屋。階段での移動が大変な2階部分に完全に独立した子供部屋が置かれることが多くありました。しかし最近では、子供がダイニングで宿題をしたり、家族と過ごす時間が増えたりとライフスタイルが変化し、プライバシーは確保しつつ、家族と近い、そんな子供部屋が求められています。平屋であれば特にそういう位置関係のプランが作りやすいのです。

複数の子供部屋を検討する場合、壁で完全に仕切ってもいいですが、建具や家具を使って、間仕切りにすると、可変性を確保することもできます。子供が巣立った後の部屋が有効活用できますし、将来、子供が家族を連れて帰省した時にも使いやすくなります。

間取り例 : casa basso

「casa basso」の間取りは、25.8畳の大きなLDKと12畳のフリールーム、9畳のベッドルームで構成されています。キッチンの背後に水まわりが集中した、スムーズな家事動線も特長です。

1階間取り図

09.開放感を演出する勾配天井・折上げ天井

ステイホームをきっかけに家で過ごす時間が長くなっています。だからこそ、ちょっとした工夫をすることで、居心地に大きな違いがでます。天井が斜めになっている勾配天井や天井の中央部分が一段高くなっている折上げ天井を取り入れてみてください。どちらも縦に空間が広がり、視線が上へ抜けるようになるため、開放感があります。

10.平屋でもできるロフト・スキップフロア

平屋だからこそ、屋根裏を生かしたスペースを作ると部屋として機能します。使う頻度の少ないものを収納するスペース、来客用の部屋や書斎、子供部屋、自分だけの趣味の部屋などもう少しスペースが欲しい方におすすめです。

11.雨に濡れない機能的なガレージ

ガレージは配置位置の工夫次第で、雨の日ほとんど濡れずに家に入れるようになります。ベビーカーや大きな荷物も濡らさずに済みます。

間取り例 : 【design casa】 ゆるやかなゾーニングと土間効果でより開かれた空間をつくる間取り。

ひさしの長さを調整し、住まいの屋根の一部のようにするとデザインと機能性が両立できます。

12.建物で囲むプライベートが確保された中庭

周囲を部屋や壁に囲まれたロの字型の中庭。外から見えないのびのびとくつろげるプライベートな空間は、子供たちの遊び場、大人たちが憩うBBQスペース、リビングからウッドデッキを繋げたセカンドリビングなど、家で過ごす楽しみを広げてくれます。リビングの大開口、各部屋の通風・採光も叶えられ、どの部屋からでも光と風を感じることができます。また、中庭を通して家族の気配が感じることもできます。

13.リゾート気分を味わえる中庭

半分外で半分中。雨に濡れない屋根付きのコの字の中庭をつくってバスやジャグジーを設置すれば、気分はリゾートライク。中庭を建物で完全に囲うのではなく、一部を外とつなげて外部の景観を取り込むことで、開放的なのにプライベートな空間も保たれた、非日常を身近に感じることができるとっておきの癒しスペースとなります。室内からは中庭越しに建物の外まで視線が抜け、広がりを感じることができます。


間取りや設備でよくある失敗例

洗面所・脱衣所が丸見え

家族の生活感がどうしても出てしまう洗面・脱衣場などはお客様から直接見えない位置にしましょう。お客様に手を洗ってもらいたいというニーズが出てきたため、家族が使う洗面所とは別に、手洗い場だけ玄関のそばに設置するケースも。

使いにくい収納にはものが溜まる

容量の大きな収納を動線を考慮せずに設置してしまい、収納した事を忘れてしまう。結果、不要な物の溜まり場になってしまったという失敗。動線を意識し必要なものを必要な場所に片付けられるように適切なサイズの収納を設置すると、移動やスペースの無駄を減らせます。

家具の購入と厳選

今あるお気に入りの家具や新しく買う理想の家具、家を作る時の楽しみの1つが家具選び。家が完成して、実際に配置してみたらイメージと違ったったというケースが多くあります。必ず持って行きたい、使いたい家具を最初に決めましょう。内装はもちろん、間取りもその家具に合わせるようにすると失敗を避けられます。

外からの視線が気になる

外から中が丸見えだったという失敗。せっかく作った窓にずっとカーテンが掛かっているなんてことも。視線が気になるのは道路からだけではありません。間取りを決める際には道路や隣地などいろいろな方向から土地を見て確認しましょう。

視線が気になる方向があれば、その方向に面する窓の大きさや高さを工夫し対策をしてください。中庭を作ってそちらには大きい窓、外周には窓をあまり設けないという方法もあります。

生活音が気になる

リビングにトイレが近く、音が気になるという声をよく聞きます。防音シートを入れるなど物理的な対策もできますが、完全には防ぎきれないので、気になる場合はトイレやお風呂はリビングから遠い位置にするなどポイントをおさえて配置しましょう。

暑い・寒い

断熱材や窓の性能向上により、以前のような暑い、寒い、といった問題は発生しづらくなっています。それでも環境に応じた設計上の対策があるとより快適になります。暑さ、寒さは太陽の光をコントロールすることで大きな違いが出ます。

軒や ひさし 、袖壁などをうまく使いましょう。夏は窓から直射日光や西日が入りづらくすることができ、冬は太陽の高度が下がるので、奥まで光が射し込みます。大きい窓は一段引き込んでつくるなどポイント的に対策するだけでも効果があります。

ニオイがこもる

料理をした時のニオイなどが気になるという方もいます。現在では24時間換気が義務化されていますが、排出されるまで時間がかかります。どうしても気になる方はコンロに連動して自動でスイッチが入るレンジフードなどを検討してみましょう。


間取りを考える時の大切なポイント

ライフスタイルを軸に間取りを考える

まずは、ライフスタイルを軸に間取りの大枠を考えてみましょう。

家事をする時どんな動きをするか、外出し帰宅するまでの流れ、帰宅時間。子供と過ごす時はどんなことをしている時が多いか、大事な趣味が何か、休日、平日の動きの違いなど。1日の動きを想像すると、暮らしに合った動線や今の住まいの不満が出てきやすいと思います。そこから必要な収納の場所と量、生活動線、不満を解消するためにどうしたらいいかを考えていくと、だんだんと理想の間取りに近づいていきます。

必要なスペースの洗い出し

生涯を通して過ごす住まい。建てた直後は快適でも、こんなスペースが欲しかった、もしくはこの空間は要らなかったとなっては困ります。

無駄なスペースをなくすには必要なスペースの見極めと可変性がとても重要。子供が目を離せない幼少期、宿題を見てあげる学童期、プライバシーを欲しがる思春期、さらには子供が独立し、自分達が年をとった時、と将来の家族像をイメージすると、本当に必要なスペースが見えてきます。

家族の活動時間に合わせた生活動線

家族みんなが快適な間取りづくりは、各々が活動する時間を把握することも大切。小さな子供がいる家庭の場合、大人が夜遅くまで活動するリビングやキッチンが寝室に近いと、TVの音や家事の音が気になってしまう方もいらっしゃいます。部屋と部屋の間に収納を作るなど音が直接響かないようにするなどの工夫をしましょう。

家電や家具の配置を考える

図面の段階である程度、家具や家電の配置を想定しておくと、ものが大きすぎて入らない、コンセントが足りなくて使えないといった問題を解決できます。ルーターの場所や、スマホの充電をどこでするのかなどもイメージしておくといいでしょう。

家具を選ぶのが先か、間取りを考えるのが先かの話になりますが、必ず持って行きたいこだわりの家具に合わせて、間取りを考えるというのも一つのやりかたです。

今の生活での不満・改善したい点をリストアップ

家を建てることは、今の住まいで感じている不満を一気に解消し、理想の暮らしを実現するチャンスです。玄関が狭い、洗面・脱衣場の段差が気になる、料理がしづらいなど、細かいことから大きなことまでリストアップし、住宅会社に伝えられるようにしておきましょう。


理想の暮らし方から考えるおすすめの間取り実例

家族の距離が近い暮らし

casa piatto
「casa piatto」は安全性と利便性を追求した平屋の住まい。家の中心に広々としたLDKを配置し、廊下がなく、LDKと部屋とが繋がる配置になっています。料理をしながら子供部屋で遊ぶ子供と会話したり、個室で趣味に打ち込んでいるご主人に声をかけたり、キッチンやリビングから全方位を見守ることができます。

四季を感じながらの暮らし

casa basso
「casa basso」の特徴の1つは、全ての部屋に通じる長いウッドデッキと大きな窓。特にリビングダイニングの大きな開口は、ウッドデッキを通して外の景色との一体感を生み出します。キッチンに立ってふと外を見ると季節の移ろいが感じられる、そんな小さな贅沢が暮らしの中に生まれます。

大切なペットとの暮らし

casa cago
階段がなくバリアフリーにしやすい住まいは、犬や猫などのペットにとっても暮らしやすい空間です。庭へ自由に行き来できる出入り口や柔らかな光が差し込むインナーテラスと、人とペットどちらにも快適に過ごせる住空間を作り出せます。

間取り例 : casa cago (プラン/court house)

家の中央にリビングとそれに続くウッドデッキを設けたプラン。シンメトリーな設計で、どんなライフスタイルにもフィットする間取りです。リビングとダイニングの両方からウッドデッキに向けて視界が抜けるので、空間がぐんと広がります。

1階間取り図

屋根を工夫した開放感のある暮らし

casa amare

三角屋根の形をそのまま生かした「casa amare」の2階部分は、秘密基地にも似て少しワクワクするような感覚を覚えます。生活に必要な機能は1階部分にまとまっているので、2階の使い方はとにかく自由。単なる収納として使ってもいいし、来客時の応接用にしてもいい。書斎や、子どものための空間として活躍させてもいいでしょう。正面には屋根の三角形を生かした大きな三角窓。天井には天窓が設置されています。昼間は自然光が降り注ぎ、夜は天窓からキレイな星空が見えます。

趣味に没頭する暮らし

casa piatto
たとえば、服をたくさんお持ちの方には大きなウォークインクローゼットを。キャンプやサイクリング、アウトドアが好きな方は土の付いたもの気軽にしまえるシューズクロークを。本やフィギュアを集めている方は見せる収納を。同じ収納でも趣味や用途に合わせたものを作ることで、より趣味の時間を豊かに充実したものにできます。

間取り例 : casa piatto 正方形プラン

「casa piatto」のスタンダードである正方形・4LDKのプランは、優れたコストパフォーマンスを発揮。広々として使い勝手のいいLDKを中心に、3つの個室と和室が配置されています。個室にはそれぞれたっぷりの収納が設けられ、機能性も抜群。和室はゲストルームとしても最適です。

1階間取り図

おすすめの間取りや設備、失敗しない間取りづくりのポイントなどをご紹介しました。理想の間取りや暮らしが少しリアルに見えてきたのではないでしょうか。

とはいえ、さまざまな条件がある中で理想通りの家を作るためには専門的な知識も必要になってきます。平屋をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。家族みんなが快適に過ごすことができる間取り作りをお手伝いをさせていただきます。

松本 彩

カーサプロジェクト株式会社/テクニカルチーム

同社の技術担当として住宅商品企画の要を担う。住宅の機能や性能を最大化させるだけでなく、2児の母としての細やかな目線や感覚を住宅に緻密に反映させている。