夢がかたちづくられていく家

大きなソファは2日前に届いたばかり。お風呂上がりの、のんびりした時間が好きだという、佑侍さんと好美さん。
「これからは、ここがふたりの定位置になっていくのだと思います」

千葉県流山市の住宅街に、その家は建っていた。広い庭のある敷地、隣は近所の方の家庭菜園。のどかな景色の中にくっきりと映えるモダンな黒い外壁は、太陽の光を浴びて誇らしげに胸を張っているように見えた。家主は高橋さんご夫婦。住みはじめて2ヶ月と少しの「casa sole」だ。家族を招いてのお披露目会を、数週間前に開いたばかりだという。

「ソファが届いたのが2日前なので、お披露目会の時はリビングからダイニングがまだ何もない空間で。シートを敷いてずらっと並んで座って、お花見をしているみたいでした」と話してくれたのは、ご主人の佑侍さん。なるほど、大きな窓から差し込む陽は柔らかく、まるであたたかな春の日に桜の木の近くにでもいるかのような気分になる。

ご家族の反応はどうでしたか、と聞くと「もちろんみんなよろこんでくれました。でも実は当日まで、祖母がこのデザインをどう思うかが少し心配でした」と妻の好美さん。けれどもいちばん気に入ってくれたのは、85歳になる祖母の野口美枝さんだったという。特に絶賛してくれたのは黒い外壁とスタイリッシュなデザインの階段で「足の具合がよくないの祖母が、2階も見たいと自分から上がっていったのにはびっくり。この家を見て受けた祖母の感動の大きさが伝わってきました」とまぶしいくらいの笑顔を見せてくれた。

いずれ一軒家を建てたいと思っていたふたりが「casa sole」にはじめて出会ったのは、雑誌でのこと。最初に気に入ったのは黒が特徴的な外観だった。「同じような家が並んでいて、その中の一軒というのは嫌だったんです」と佑侍さん。デザインと“太陽のある暮らし”というコンセプトにも興味をもち、書籍でさらに詳しく構造や機能を確認した。資料をもらってみようと工務店に問い合わせたところ、トントン拍子に話が進み、出会いから1年後には、文字通り“太陽のある暮らし”が現実に。「ソーラーパネルのモニターには発電量などが詳しく表示されるので、エアコンいらずの暮らしがエコにつながっているのだと実感しています」

子どもは三人はほしいというふたり。「子どもたちが太陽の光の中で、のびのびと成長する姿を見守りたい」という夢を語ってくれた。ふと、階段下のお絵描きボードに目がとまった。早くもお子さんのために?と聞くと「広いボードに自由に絵を描かせたいと思うので」と好美さん。家を建てていなかったら、まだまだ夢のままであっただろう子どものいる暮らし。ところが、「casa sole」で過ごす毎日が、子どものいる未来をふたりに具体的に描かせ、現実の空間に少しずつ姿を現しはじめているのだと気づいた。劇的に叶う夢もいいけれど、こうして少しずつ、確実にかたちをつくっていく夢の叶え方も素敵だ。